事例集

外国人の採用の手続きはどのようにすれば?

答. 外国人登録証明書もしくはパスポートで働けるかどうか確認してください。

外国人を雇用する際、まずはその外国人が日本で働けるかどうか、又、どのような職種で働けるのかといった事を確認しなければなりません。
外国人の場合、入国の際に与えられた在留資格の範囲内で、定められた在留資格でしか雇用することはできません。また、平成19年10月1日より、雇い入れる外国人の氏名、在留資格、在留期限、生年月日、性別、国籍等をハローワークに届け出なければならなくなりました。
これらの項目は、外国人登録証明書もしくはパスポートで確認できます。尚、就労可能な在留資格が得られなければ採用することはできません。従って、雇用契約書には、停止条件を入れておく必要があります。

外国人労働者の雇用保険や社会保険等の扱いはどうなりますか?

答. 日本国内で働く場合は、たとえ外国人であってもその国籍を問わず労働関係法令等が適用されます。

日本国内で働く場合は、たとえ外国人であってもその国籍を問わず労働関係法令等が適用されます。
したがって事業主は、外国人労働者に対して労働関係法令や社会保険関係法令を日本人労働者と同様に遵守する義務があります。
また、外国人労働者が適切な労働条件および安全衛生の下、在留資格の範囲内で能力を発揮し、就労できるように適切な措置を講じなければなりません。これらの件に関して厚生労働省からの指針の中で、特に注意をもって事業主が遵守すべき物として以下の点が列挙されています。
①外国人労働者の募集および採用を適正に行うこと
②適正な労働条件を確保すること
③外国人労働者の安全衛生を確保すること
④雇用保険・労災保険・健康保険および厚生年金を正しく適用すること
⑤適切な人事管理や教育訓練、福利厚生等を実施すること
⑥解雇の予防とやむを得ず解雇する場合は再就職を支援すること
又、労働法では、国籍を問わず労働条件等において差別することは禁止されています。

在留期間の更新手続き中に期限が切れると不法就労となりますか?

答. 在留期間の更新手続き中は従来の在留資格が継続しているものと考えて、引き続き雇用しても不法就労とは扱われません

入管法上、在留期間の更新申請は在留期間内に行えばよいことになっており、在留期間内に許可するか否かの結果が出ない場合もあります。
この場合、結果が出るまでの間は従来の在留資格が継続しているものと考えて、引き続き雇用しても不法就労とは扱われません。更新申請をしている場合は、パスポートに「申請APPLICATION」の旨の入国管理局のスタンプが押されています。
尚、更新が許可されなかった場合、それ以降は就労(雇用)できませんのでご注意下さい。

田舎で一人暮らしをしている母(65歳)を健康保険の扶養にできる?

答. 被保険者の母の年金を含めた収入が180万円未満で被保険者からの仕送り額よりも少ない場合であれば被扶養者として認定される

まず、一定範囲内の親族のうち被保険者と別居していても被扶養者として認められるのは、
①配偶者(内縁含む)、
②子、孫及び弟、妹、
③父母、祖父母、曾祖父母
です。つまり母についてはこの条件に該当します。
次に、被保険者と別居している方を被扶養者としたい場合は、認定対象者の年収が130万円未満(満60歳以上の者又は障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円)で、かつ被保険者からの仕送り額よりも少ない場合に被扶養者として認められます。
つまりこの場合、被保険者の母の年金を含めた収入が180万円未満で被保険者からの仕送り額よりも少ない場合であれば被扶養者として認定されることになります。

管理職には残業手当は必要ない?

答. 職務内容・責任・権限などにより支払わなければならない場合があります。

労働基準法第41条に「監督若しくは管理の地位にある者、又は機密の事務を取り扱う者」については労働時間、休憩又は休日に関する同法の規定は適用しないと書かれていますが、「管理職」としての地位にある労働者でも労働基準法上の管理監督者には当てはまらない場合があります。
「管理監督者」に当てはまるかどうかは「役職名」ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断されます。
「管理監督者」は労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、立場や権限、相応の処遇等が与えられていることが判断基準となります。
これらの基準に当てはまらないと判断された場合は「管理監督者」には当てはまらず、残業手当は支払わなくてはなりません。

産前産後休業中の社員を解雇したいのですが?

答. 基本的にそのような社員を解雇することは出来ません。

労働基準法第19条1項には、産前産後休業中とその後30日間は解雇することは出来ないと定められています。この期間内は、企業経営上の都合など、いかなる理由があっても解雇することは出来ないという意味です。
一方、この期間以外であれば解雇しても良いという訳ではなく、雇用機会均等法第9条3項では、期間の如何を問わず、女性労働者の婚姻、妊娠、出産を理由としたり、産前産後休業等の権利を行使したことを理由とする解雇、その他の不利益な取り扱いを禁止しており、妊娠、出産に関しては二重の保護が加えられているわけです。
さらに、第9条4項は、妊娠中及び出産後1年を経過しない女性労働者の解雇は、事業主が他の正当な理由を証明しない限り、民事上無効であると定めました。
よって上記のような労働者を解雇することは解雇制限期間はもちろんのこと、正当な理由がない限り、解雇することは出来ません。

労働者の給与について年俸制を導入したら残業代は支払わなくていいの?

答. 支払わなくてはいけません。

「年俸制を採用すれば、残業代を支払わなくてすむ」と誤解されている会社も多いようですが、原則的に年俸額とは年間所定労働時間だけ働いたときの賃金を想定していますから、時間外労働や休日労働を命じたときには、別途、割増賃金を支払う必要があります。
もし、一定の金額を割増賃金分として含んだ上で年俸額を決定するのであれば、あらかじめ「年俸○○円、うち割増賃金分××円」というように内訳を明らかにしておかなければなりません。
また、実際働いてみた結果、事前に定められた割増賃金分を超えて働いた場合にも、割増賃金の不足分を追加して支払わなければなりません。

もちろん、年俸額が最低賃金を下回ってはなりません。